志村つくねの父さん母さんリヴァイアサン

文筆家・志村つくねの公式ブログ。本・音楽・映画を中心に。なるべくソリッドに。

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第7回(最終回)】

こんにちは。ペーパードライバー歴3か月の僕がブイブイいわせますよ。何を隠そう、あの秋の濃密な教習以降、ハンドルを握っていないのだ。とはいえ、街を走る車の「身のこなし」に関心を持つようになったし、住宅街を歩いては「この車、いいなあ」ぐらいの感…

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第6回】

ペーパードライバー教習の最終日となった。高速教習を2コマ連続で、である。死が身近に迫っていることを感じ、僕は朝からオエオエえずいていた。20年前も高速教習を受けたわけだが、その時は受講生が2人同時に乗り、行きと帰りで分担しての運転だった。これ…

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第5回】

瞳の奥に宇宙が宿る。あるいは無数のヒヨコたちが頭頂を旋回する。この日の僕は2時間の車中でずっとそんな状態だった。亀田さん(仮名)の提案により、今日は車庫入れの特訓に励むのだ。トイレに行けない連続2コマ。1コマ目が快調ならば、2コマ目で路上とい…

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第4回】

教習初日から1週間が経った。本日も夕刻、しかも2コマ連続で路上だ。受付のおねえさんから、あらかじめトイレを済ませておくように念押しされる。つまりは休憩時間なしのぶっ続けである。相性の悪い教官に当たったら、悲惨なことになるなあ。 手元の予約カー…

2024年

この場で駄文を書き連ねることが心苦しいくらい、新年早々、悲しいことが続いてしまった。どうか一人でも多くの方が救われますように。あたたかさに包まれますように。 2024年である。昨年は1年をかけて、新しい環境への適応を探っていたような気がします。…

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第3回】

文字通り「ほうほうのてい」で1コマ目を終えたわけだが、5分後には2コマ目の始まりだ。ロンドンバスを改装した待合室(このあたりの趣味がよくわからない)で学生さん達とともに待機。場内を何周かしただけなのに、全身が筋肉痛である。ハンドルを持つ手に無…

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第2回】

22年前にMT車で免許を取れたことがいまだに信じられない。あまりに下手くそな僕を見かねて、「実際はオートマしか乗らへんからね〜」と教官が声をかけてくれたのが昨日のことのようだ。車を運転するどころか、機械に操られているといったほうが正しい。あの…

ペーパードライバー狂習【短期集中連載:第1回】

ファミコン最盛期に「ドラゴンボールZ 強襲!サイヤ人」という名作があった。原作のクオリティを損なわない程度にゲームシステムやストーリーの点で攻めていて、愛着をもって遊んだものだ。原作ではパッとしないチャオズが超能力を駆使して……という話はどう…

阪神タイガース38年ぶり日本一に想う

口に出すと実現しなくなると思って黙っていたのだが、とうとう阪神タイガースが日本一になってしまった。誠におめでたい。関西に住んでいたら、もっと現実味があったんだろうな。そう、あまりの出来事に、まだちょっと信じられないでいる。 僕と阪神の関わり…

僕と大学院【第8回】

震災のどさくさに紛れて、世の中、さまざまな出鱈目がまかり通るようになった。ここで腐っていてはしょうもないので、心を気高く保つことだけは忘れないようにした。2012年、僕は32歳になっていた。博士課程ではたっぷりと時間を使うと決めていたが、さすが…

僕と大学院【第7回】

阿佐ケ谷での新婚生活が始まった。妻は勤め人だったので、帰宅の早い、学生の僕が基本的に夕飯担当となる。一人暮らしが長かったとはいえ、カレーやスープぐらいしか料理のバリエーションがない。ヴィレヴァンで陳列されているような、男子厨房に入る系のレ…

僕と大学院【第6回】

毎朝楽しみにしていた朝ドラ『らんまん』が最終回を迎えた。あまりドラマを観る習慣のない僕だが、ここ数年、ちょっと考えるところがあり、生活のペースを整える意味でも、連続物を鑑賞するようになった。『らんまん』のストーリー展開や人物造形が秀でてい…

僕と阪神タイガース

ただいま大学院時代のことを連載中ではあるが、ここでちょっと休憩。18年ぶりにリーグ優勝を成し遂げた阪神タイガースのことを書いておかないと、後悔する。ときにベイスターズを、またあるときはライオンズを応援しているお前が何を言うとるか! とのお叱り…

僕と大学院【第5回】

2006年4月、博士課程(正確に言えば、博士後期課程)に進学した。僕は26歳と中途半端な若さ。指導教官は並木先生からツベタナ先生へと引き継がれた。この段階になると、必修の授業というものはないのだが、こまごまと忙しくなってくる。いきなり博士論文の執…

僕と大学院【第4回】

2006年(26歳)あたりの自分の姿を回想している。なんて未熟者なんだろう。学部時代のことを思い出すと甚だ恥ずかしいが、修士課程の終盤ともなると、その恥ずかしさはより生々しいものに。まだまだ若いくせに、何か物事を知った気になって、どんどん世間と…

僕と大学院【第3回】

朝起きてから1、2時間以内のフレッシュな脳味噌で書き物をしたい。長年そう願いながらも、一年に数回しかそんな状況を生み出せずにいる。ならば仕方がない。絶えず、読む。絶えず、書く。せめて心がけだけでもそうあらねば。こんなふうに考え始めたのは、修…

僕と大学院【第2回】

8月ももう折り返し地点。真夏の1、2週間なんて「刹那」である。そのことをおじさんは痛感中なのだが、大学院生という身分も一瞬の出来事だったなぁと今さらながら感じ入る。 4000字ほど書いた下書きが消滅してしまった。めったにこういう失敗はしないタイプ…

僕と大学院【第1回】

しばらく大学院時代のことを振り返ろうと思う。博士後期課程を修了したのが2014年の3月なので、ここから休学等を挟みつつ、約10年間も大学院に身を置いた計算になる。思えば、長く曲がりくねった道のりだった。その「幕開け」の部分が今回の記事というわけだ…

僕と大学【第10回(最終回)】

「このままだと、イナカモノの論文になりますよ!」剛速球の、大音声だ。面接会場の空気が張り詰める。それまで一言も発していなかった東欧系と思しき女性に日本語で喝破され、僕は硬直した。僕のバフチン理解がいかにお粗末なものであるか、解説書をまとめ…

僕と大学【第9回】

もしタイムマシンがあったなら、この時代からやり直したい。その最有力候補が、大学4年生、23歳である。振り返ってみれば、あの時の選択が生きざまの分岐点となっている。人生をやり直したところで、僕は愚かにも同じ選択をしてしまうのだろうけれども……。20…

だますだます

暑いですねえ。一番気温の高い時間帯に外を歩いたものだから、全身がでろんでろんになってしまった。しかも、今年のセミの声は暴力的でえげつない。困る。 ブログ連載「僕と大学」が停滞している。せっかく佳境の4年生編まで来たというのに、残念なことだ。…

僕と大学【第8回】

BALLでアクセルを演じてからしばらくの間、自分が何をどうしていたのか、ほとんど記憶がない。3年生の秋から冬にかけての出来事がすっぽり抜け落ちてしまっているのだ。唯一覚えているのは、学食で食べた生ぬるい鍋焼きうどんにあたって、1週間ほど寝込んで…

僕と大学【第7回】

3年生の夏から秋にかけて、自分はつくづく「青春」していたと思う。正真正銘のおっさんになった今だからこそ、あの時の眩しさは本物だったんだなと気付く。まあ、死ぬまでにあと何度かスパークしますけどね。これからの道をこそ光らせたいのだ。 それはとも…

僕と大学【第6回】

3年生ともなると、学内外の事情に明るくなり、心理的に余裕が出てくる。充実の季節、と断言できれば素敵なのだろうけれど、よくよく考えてみれば、あの頃の自信は意味不明で恥ずかしい。寝る間も惜しいくらいに、目に飛び込むすべてのものを吸収していたのが…

デビュー10周年でした

ツイッターでチョロッと書いたから、まあいいか。と思ったけれども、やっぱり節目だもの、ちゃんと記しておかねば。外は晴れていることですし。 2023年5月20日をもって、文筆家デビュー10周年を迎えました。いつも温かく見守ってくださっている皆様、本当に…

僕と大学【第5回】

前回の記事からだいぶ間隔があいてしまった。なるべくイイ心持ちで更新したいのだが、とびきりハッピーな日というのがそう多くはない今日この頃である。文筆の神様の降臨を待っていたら、1本の記事を更新するのに2年も3年もかかってしまいそうで怖い。とりあ…

僕と大学【第4回】

何を隠そう、僕は2023年4月末現在、ドラマ『池袋ウエストゲートパーク』(I.W.G.P.)にハマっている。恥ずかしながら、ずーっと観たことがなかったのだ。ディズニープラスに入会したのをいいことに、1日1話と決めて、夜な夜なブクロをパトロールしております…

『ザ・ビートルズ:Get Back』を観た(そして膝から崩れ落ちた)

人知れずディズニープラスに入会した。そして、2カ月かけてじっくりと『ザ・ビートルズ:Get Back』を観た。3部構成、約8時間のドキュメンタリーだ。ここまで悠長なペースで鑑賞しようとは思っていなかったのだが、各シーンの情報量の多さに圧倒され、1日に1…

僕と大学【第3回】

前回、ようやく入学直後のことに言及できた。今回は1年生に関して言い残したことをまとめておきたい。自分で言うのもナンだが、大学生活の序盤は勤勉だったと思う。2年生の秋頃まで、サークルやクラブに入っておらず、バイトらしいバイトもした記憶がない。…

僕と大学【第2回】

学部1年生だけを切り取っても、思い出が膨大にある。つまりは幸せだったということなのだろう。この時期は浪人時代までの出来事をきれいさっぱり忘れて、新しい自分に生まれ変わろうとしていた。「大学デビュー」を狙ったわけではないが、ハタチの頃の吸収力…