東京はいい晴れ方をしております。
一週間のはじまりとしては上々。
悪いことなど起こるはずがない。
明日はいよいよ博士論文の最終審査なのである。
とても、とても、とても長い道のりだった。
ここまで生き残れたことを奇跡のように思う。
始まる前から感無量です。
わが大学院の博士課程は、この最後の試験を受けるまでが大変なのだ。
「博士候補資格論文」(通称:キャンディダシー論文)を3本提出し、
それぞれの口頭試問に合格する必要がある。
海外の大学院ではわりとポピュラーな方式のようだが、
日本で実施されているのは珍しい。
論文作成にはガッツが要求されるが、僕はこのシステムを評価している。
というのも、研究計画の微調整ができるし、面接の練習にもなるからだ。
あのときは苦痛でしかなかったけれど、振り返ってみれば糧となっていた。
そんな経験がちょこちょこある院生生活でした。
小さな大学ゆえ、日本的な学閥や学会との接点はなきに等しい。
はっきり言って「人脈づくり」には向かない場である。
博士号をとった人のうち、いったい何人が定職に就けたのだろう。
いかん。
こういうことを考えていると、果てしなく澱んだ気持ちになる(笑)。
大学院の約10年間、本質的な探究ができたことには感謝しないといけない。
とくに、素敵な仲間にめぐり会えたことがよかった。
緑いっぱいの環境も素晴らしかった。
同じ場所に身を置き続けていると、悪いことばかりが気になって、
恵まれた面を忘れがちになるものだ。
ここへきてようやく大学を客観的に見られるようになってきたという実感がある。
もちろん、不平不満は山ほどあるし、「それって人間としてどうなの?」と
考えさせられるような事件が無限にあるのはたしか。
でも、今日のところは絶賛にとどめておこう(笑)。
今さらじたばたしたってしょうがないのだけれど、論文を見直している。
いや、紙の束を抱えて部屋をウロウロしているといったほうが正確か。
「何着て行こうかな」とか「終わったら何食べようかな」ばかり考えている。
最低限の調整をして、よく眠ろうと思う。
すべてが完了したら、僕は翼をひろげるのである。
(業務連絡「NGワード、『自由』」)