先日、東小金井在住経験のある方とお話ししたのだが、
彼いわく「あの駅前、なんにもないよ!」とのこと。
あれー?おかしいな……。
僕にとっては、エキサイティングB級グルメの街なんですが。
どうやら、この20年ぐらいで劇的に街の様子が変化したもよう。
あったはずのものがない。
なかったはずのものがある。
人生の悲喜こもごもを具現化したような場所がヒガコなのである。
本日ご紹介するのは、「れすとらん岬」(現在は閉店状態?)。
知る人ぞ知る、とんねるずの ”きたなシュラン” に出てきそうな洋食の名店です。
友人が肝だめし感覚で入ったら、出てくるものがことごとく美味だった! なんて
言い張るものだから、一人で出かけた記憶がある。
元祖・孤独のグルメである。
レトロといってはあんまりな店がまえ。
はっきり言って、デート向きではないオーラ。
おそるおそるドアを開けて入店いたす。
「ウマいのはウマいんだけど、愛想が悪いというか、ホールのおばちゃんが独特の
切り口で迫ってくる」と忠告を受けていたのだが、果たして、その通り。
おひとりさま(だいたいが学生)はカウンターに案内されるのだけれど、
椅子の上に荷物を置くのはご法度だそうで。
そんなルールを知らない僕は、席に着いたなり、椅子にかばんを置いて激怒されたのである。
「ちょっと!荷物は入口の棚に置いてねっっっ!」
西友なんかで売ってそうなスチール製の棚に、全装備を預けるよう命じられる。
初っ端から、なかなかの緊張感である。
さて、何を注文しよう。
メニューはいたってシンプルで、片手で数えられるぐらいの料理しかない。
周りのお客さんは口々に「Cコンね!」とか「俺、Cコン!」って言ってる。
なんなんだ、Cコン。
というわけで、僕もCコンにしてみた。コンコン。
これは要するに ”Cコンビ” なる名物定食で、
「ハンバーグ+ベーキライス+サラダ」の組み合わせなのだという。
ランチタイムは、600円ぐらい。食後にコーヒーが出てきたと記憶している。
ハンバーグはいい。サラダもわかる。
しかし、ベーキライスってなんだろう?
よくわからないまま、カウンター越しに調理を見つめるわたくし。
ハンバーグの作り方は超本格派で、わらじ大の肉塊をフライパンでジュウジュウやってる。
これだけで存分に美味しそうなんだが、なんとおじさん、6割方焼けたところで、
このかたまりをフライパンごとオーブンに突っ込んじゃったよ。
これがれすとらん岬のれすとらん岬たる技なんである。
香ばしく焼き上がったハンバーグに自家製(たぶん)のグレービーソースがかかった
プレートは破壊力抜群。
出来上がるのを待つ間、キャベツを刻んでオーロラソースをかけたサラダが出てくるんですが(コーンも乗ってた?)、こちらは非常にシンプルなお味。
どこぞのご家庭でポンとテーブルの上に放り投げられたようなテイストです。
で、ベーキライスですよ。
つまりは、ベイクドライスが訛ったものと解釈したのだが、
ピラフのようであり、チャーハンのようであり、そのどちらでもないという。
具らしい具はたまごしか入ってないんだけど、これが魔法のようにウマいのです。
一説には、コンソメで味付けしているそうなのだが、ホンマかね?
パラッパラに仕上がった ”焼ごはん” をハンバーグソースにチョチョンとつけて
口に運ぶと、幸せなものでした。
ごちそうさまでした。
これは都市伝説なのだが、調理担当のおじさんが一流ホテルで修業した人だとか
ナントカ、もっともらしい噂を何度も耳にしたことがある。
荷物の置き場所にうるさいの以外は、まっとうな接客態度でしたよ。
ただ、そう遠くない未来に閉店するだろうなとは思った。
あんまり女子会には使えそうにない衛生面。特に、床。
椅子づたいに歩行する油虫も出るらしく、情緒があるね。
たまに無性に食べたくなる洋食の名店です。
Cコンしか頼んだことないけど。