志村つくねの父さん母さんリヴァイアサン

文筆家・志村つくねの公式ブログ。本・音楽・映画を中心に。なるべくソリッドに。

しゅらしゅしゅしゅ PART 2

月曜日が快晴だと、自動的にゴキゲンになる仕組み。

現実世界ではアホなことばかりが起きているので、こちらでは楽しいことを書く。

だいぶ間があいてしまったが、四国旅行記の第二弾です。

別にもったいぶっているわけではないよ。

 

こんぴらさん金刀比羅宮)には一度行ってみたかったのだ。

たしか中学校の社会科の授業で、かの有名な「しゅらしゅしゅしゅ~♪」のフレーズを

聞いたのが興味のはじまり。

どこかトチ狂ったグルーヴを感じたんだよね。

いま気づいたんだけど、トップページがどうかしている公式サイトが存在する。

大成功した質屋のようなド迫力。

チェックしてみて。

金刀比羅宮 http://www.konpira.or.jp/

 

こんぴらさんを訪ねることを経験者に話したら、

「ぜひ、奥の天狗に会いに行け!」と強要された。脅迫された。おすすめされた。

「奥」という単語が非常に引っかかったが、「はい、ぜひぜひ~!」などと

調子よく返事してしまった。

甚だ後悔している。

体力自慢の人ならともかく、日頃たいして運動しない身にとっては、

なかなかの試練の場なのだ。

 

こんぴらさんは長い長い石段で有名で、

本宮まで785段、天狗のいる奥社までは1,368段あるとのこと。

数字で見るとあまり実感がわかないが、実際に参道に足を踏み入れると、

「しまった……」という表情になる者が続出する。

周りに目をやると、7~8割の人が杖を使用しているではないか。

何事もまずは恰好から入ることが大切。

僕も入口付近のお土産屋さんで一本お借りしたのだが、これがよかった。

体重が分散されるのって、素敵なことです。 

危うくマイ・ステッキを買いそうになった……。

 

あいにく小雨が降っていたため、足元に細心の注意を払わねばならなかった。 

本宮に到達するあたりまでは快調だったのだが、奥社へ続く道に入ったとたん、

元気が奪われていくのを感じた。

そんななか、幼児を抱っこしながらのぼるガッツあふれるママがいて、

卒倒しそうになるなど。

さすが、海の神様を祀るこんぴらさん

これぞ生命力ってやつですよ。

なんてスピリチュアルなの……。(←適当)

 

だいたい、僕は登山やら石段のぼりやら長距離走が大の苦手なのだ。

のぼる前から心が滑落している。

そんなわけで、奥社の手前まで来たころには顔面蒼白のぬめぬめオヤジ一丁上がり。

どこかの大学サークルの女子4人組がすれちがいざまに「こんにちはー!」と

爽やかに挨拶してくれて、思わず「す、すみません……」と謝りそうになった。

あまり弱気でいるのもどうかと思ったので、次に向こうからやって来た山ガール風の二人組には、こちらから「こんにちはー……」と話しかけてみた。

見事に無視された。

すれちがい……通……シーン……。

 

僕の人生、こんなもんである。

最近、ゴミを捨てに行っても、ご近所のおねえさんにシカトされるしなぁ。

なんでしょう。一生懸命生きてはいるんだが。

そんな悲しいことを思い出しているうちに、てっぺんに着いた。

晴れた琴平町を見下ろすことはできなかったが、「宿題」の天狗に会えたのは

うれしかった。

まさかそれが崖に彫られたものだとは思わなかったので、達成感も格別。

天狗のかたちに見える奇岩か何かかと勘違いしていました。

 あんな場所にどうやって彫刻したんだろう。

昔の人、すげぇな。(←超適当)

 

想像以上にくっきりと出っ張っている「天狗」と「烏天狗」。

その佇まいには時空を超越した凄みがあった(ような、そうでもないような)。

「のぼった道は下らなければならない。山ガールに負けるな」

彼らの眼光から勝手にそんなメッセージを読み取り、満足したのだった。